ローリング・ストーンズ アナログ盤蒐集生活!

ただひたすらにローリング・ストーンズのレコードを紹介しているブログです。

ローリング・ストーンズ IT'S ALL OVER NOWアメリカだけのエディット・ヴァージョン!!

1964年7月24日に発売されたアメリカでの3枚目のシングル「It's All Over Now」の一部の盤にはエディット・ヴァージョンが存在します。これは2コーラス目が丸々カットされていて、1コーラス目が終わるといきなり間奏のギター・ソロへといってしまう2分28秒のヴァージョンです。これは下のラベルのデザインでマトリクスがDR-33543-1C/DR-33544-1Cのものだけに存在します。これと同じラベルのデザインでも-1C/-1Cのものは少なく大体は-2Cでエディット・ヴァージョンではなく3分20秒の通常ヴァージョンが収録されているので注意が必要です!私はeBayでこのラベルが出るたびに出品者に質問し、2005年頃に入手しました。それ以降もオークションなどで注意して見ていますがなかなか出ないレアな盤だと思います。エディット・ヴァージョンが収録されているラベルです。規格番号が45 LONで改行されているのが特徴です。タイム表示は3:20となっていますが、実際は2:28です。

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マトリクスの部分です。手書きでDR-33543-1Cとなっています。

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なお、このシングルのその他のラベルでタイム表記が2:28となっているものがありますが、そちらは全て通常ヴァージョンが収録されているので要注意です。あくまでこのラベルのデザインで-1Cのものだけにエディット・ヴァージョンが収録されています。また、プロモ盤も聞いてみましたが通常のヴァージョンが収録されていました。USA盤のジャケットです。

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「誰とでも寝た」という歌詞が引っかかったのか、それともラジオで流す時間を想定してカットしたのか不明ですが、何故この-1Cのものだけにエディット・ヴァージョンが収録されているのか分かりません。将来60年代のアンソロジーが出るとしたらぜひCD化してほしい音源ですね!この曲は何といってもキースのジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!とリズムを刻むギターとブライアンの浮き浮きしたようなアルペジオの対照的なギターの絡みがなんともいい気持ちですね。95年に東京ドームでこの曲を演ってくれた時には感動しました。先にも書きましたが、私はeBayでこのデザインのラベルが出品されるたびに「マトリクスを教えてくれ」と質問を続けましたが中には、「何でそんな質問するの?」とか「盤の状態はいいぞ」などマトリクスは教えてくれなくて全然関係のない返答もありました。「Fuckin' Jap!」と返事が来たときは凹みましたが(笑)、大体の人はまじめにマトリクスを教えてくれましたが-2Cばかりで半ば諦めていました。3年位質問を続けてやっと「-1C/-1C」と返事が来た時にはオークション終了まで誰か入札しないかそわそわしてましたね~。出品者の方はエディット・ヴァージョンが収録されているとは知らずに出品していたようで安く落札できたのでラッキーでした。何年も探していたレア盤をやっと入手出来た時にいつも思いますが、念じていれば必ず手に入るという事を実感した瞬間でした!「It's All Over Now」のUSA盤シングルのいろいろなラベルのヴァリエーションは次回触れます。

ローリング・ストーンズ ドイツ・クラブ・エディション①BEAT BEAT BEAT!!

ローリング・ストーンズの各国盤で特に人気が高いのがドイツ・クラブ・エディションの『BEAT BEAT BEAT』だと思います。ストーンズのアルバムとしては珍しい10インチ盤で1965年7月に発売されました。規格番号は60 368でモノラルしか存在しません。Bertelsmann Book Club(Bertelsmann Club Centerとの資料も)というところからメイル・オーダーで2000枚発売されました。このアルバムはセカンド・プレスも存在するので合わせて2000枚なのか各2000枚なのかは不明です。67年の12月には全部売り切れたようです。キースが目をこすり、ビルが電話をかけ、チャーリーがアッカンベーをしている面白いジャケットです(笑)。上部にタイトル、左下にDECCAのロゴがあります。

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裏ジャケです。タイトル、曲目、メンバーのクレジットのみのシンプルなデザインです。曲目は『1st』とEP、シングルの曲で特に当時の西ドイツで未発売だった曲はありません。「Time Is On My Side」はオルガン・イントロ、「Tell Me」はきれいにフェイドアウトするヴァージョンです。

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表側の左下にDECCAのロゴとSonderauflageのクレジットがあります。

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裏ジャケの上部にもDECCA-Sonderauflageのクレジットがあります。

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後期のジャケットでは裏ジャケ右上の規格番号の横のP 10が消えて、Hi-Fi 60 368も右にずれています。これはP 10が無いものに必ずしもボックスト・デッカが入っているわけではないのでラベルとジャケットは別々の時期に切り替わったと思います。f:id:jukeboy:20170216161401j:plain

メンバーはイアン・スチュワート(スペルがJANとなっています)もクレジットされています。

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ファースト・プレスのラベルです。光が反射してしまい見えずらいですが、初期ドイツ・デッカ盤のえび茶に金の文字で、ラウンド・デッカと呼ばれる楕円形のDECCAのロゴがあります。左側にSonderauflageのクレジットがあります。その下にマトリクス番号と盤全体のタイム表記があります。右側の規格番号の下にAD 5525-Lと番号がありますが何の番号か不明です。マトリクスは機械打ちでLPD-19990-X/LPD-19991-Xです。

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B面のラベルです。両面とも曲名の後にShakeやTwistといった曲のタイプがクレジットされています。

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セカンド・プレスのラベルです。DECCAのロゴがボックスト・デッカに変っています。リムの文字も違います。その他の部分は上のラベルとほぼ同じです。こちらにも規格番号の下にAD 5525-Lと謎の番号があります。マトリクスも上と同じでLPD-19990-X/LPD-19991-Xです。ボックスト・デッカには67年に切り替わったとの資料もあります。

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B面のラベルです。初期のドイツ盤のラベルはゴージャスでいいですね~。

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日本でも70年代にソニー・ファミリー・クラブというレコードを通販する会社があり、ディープ・パープルのアルバムなどを独自のジャケット、曲目で売っていましたね。日本ではこういう通販は特に売れたようには思いませんが、当時の西ドイツではどうだったんでしょうかね?このアルバムと『IN ACTION』の2枚は日本では人気が高くバブルの頃にはボロボロな状態でもとんでもない値段が付けられていましたね!10インチという大きさがかわいいし、ジャケットの写真もいいですね~。「Tell Me」を除いて全てカヴァーですが当時のストーンズはカヴァー曲の選曲がいいし、演奏のセンスも本家に負けないくらいいいと思います!

ローリング・ストーンズ USA盤 別カヴァー12X5の謎??

ローリング・ストーンズのUSA盤『12X5』にはファーストの写真を使った別カヴァーが存在します。USA初回盤のジャケットと言われていますが、本当にアメリカ国内で発売されていたのか謎なので取り上げてみたいと思います。このジャケットはモノラルとステレオの両方存在し、中のレコードはUKプレスのものです。特にステレオのUKプレスのLONDON盤はこれでしかない貴重なものです。ステレオのジャケットです。左上に規格番号のPS 472とSTEREO、右上にLONDONのロゴがあります。他のUS盤と違い俗にいうペラ・ジャケです。

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裏ジャケです。デザインはUSA盤の『12X5』と同じです。上下とも中央が丸く凹んだフリップバックになっています。

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モノラル盤のジャケットです。左上に規格番号のLL 3472とMONO、右上にLONDONのロゴがあります。

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モノラルの裏ジャケです。こちらもデザインはUSA盤の『12X5』と同じです。ステレオと同じく上下とも中央が丸く凹んだフリップバックになっています。

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ジャケット表側左上の部分です。規格番号とSTEREO、MONOの表示があります。

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 裏ジャケ左下の部分です。それぞれの規格番号とalso available in ~のクレジットがあります。

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裏ジャケ右下の部分です。それぞれの規格番号があります。下部の両脇に規格番号があるのは他のUSA盤と同じですが、国名のクレジットがありません。両方共規格番号の近くにCPL 1917と不明の番号があります。後で詳しく触れますがこの不明の番号とフリップバックの形を見てこのジャケットではアメリカ国内で発売されていなかったのでは?と疑問を持ちました。

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ステレオ盤の裏ジャケ下部中央にはUSA盤の初期のステレオ盤にあったPLAY THE RECORD ONLY ON STEREOPHONIC EQUIPMENTの文字があります。フリップバックが凹んでいるデザインもわかると思います。

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曲目の部分です。USA盤の『12X5』同様「Congratulations」のスペルをミスってます。

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インナーです。ロンドンのffrrのものが使われています。

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反対側です。

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モノラルのラベルです。上部にMADE IN ENGLANDと書かれたUK輸出仕様です。マトリクスは機械打ちでARL-6493-2A/ARL-6494-2Aです。

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ステレオのラベルです。このUK輸出仕様は通常のジャケットの『12X5』では見た事がありません。上部にMADE IN ENGLAND、LONDON ffrrのロゴがあります。マトリクスは機械打ちでZAL-6493-2L/ZAL-6494-3Lです。その他に-3L/-3Lのものも確認しました。

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ここで、オーストラリアでの『12X5』を見てみるとオーストラリアの初版ではモノラル、ステレオ共にこのジャケットが使われています。オーストラリア盤のジャケットです。左上の規格番号の部分はオーストラリア独自のLKA 7591(モノラル)、SKLA-7591(ステレオ)で、ロゴはDECCAになっています。中のレコードは通常のオーストラリア・プレスのものです。

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オーストラリアのセカンド・ジャケです。こちらは通常の『12X5』と同じです。レーベルはDECCAです。

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オーストラリア盤の裏ジャケです。中央が丸く凹んだフリップバックの形が上のUK輸出仕様のものと全く同じです。国名は書かれていません。これから考えるとこのジャケットはオーストラリアでは印刷されてものではなくどこかの国から輸入したのかも知れません。

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通常のジャケの方は全体に青くなっていて、こちらにはオーストラリアの表示があります。初期のオーストラリアではシールを貼ってモノラル、ステレオを区別していたので通常のジャケットの方は規格番号が両方クレジットされています。

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表側左上の規格番号の部分です。オーストラリア独自のSKLAとLKAの規格です。

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裏ジャケ右下の部分です。規格番号とUK輸出仕様にあった謎のCPL 1917の記号があります。

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以上から考えてまとめてみるとこのUK輸出使用のジャケットは

①イギリスでジャケットが作られたとしたらフリップバックの形が違い、MADE IN ENGLANDや印刷所のクレジットが無く、コーティングもありません。イギリスでジャケットが作られた日本向けのものはロゴがLONDONになっただけでENGLANDや印刷所のクレジットがありました。

②A式と呼ばれているUSA盤のジャケットとも作りや紙質が全く違います。

③裏ジャケにCPL 1917というオーストラリアの初回盤と同じ謎の記号があります。これはオーストラリア製、あるいはオーストラリアの初回盤がもし自国で印刷しなかったとしたらその近隣諸国で印刷された可能性が高いと思います。

④この15年位で数回eBayで見かけましたが、大体はオーストラリアか東南アジア方面(シンガポール、マレーシアやインドネシア)から出品されていてアメリカ本土からの出品はありません。

⑤資料本STONES WORLDWIDEではこのレコードをシンガポール盤としています。その他香港盤としている資料もあります。

以上から考えてこのジャケットのものはアメリカ国内では発売されていなかったのでは?と考えられます。これは私の全くの仮説ですので真偽のほどはわかりませんが、イギリス領だったマレーシアとシンガポールは63年に「マレーシア連邦」として英国からの独立し、その後65年にはシンガポールがマレーシアから分裂して独立、その頃にイギリスからレコードを輸入して現地でジャケットを作ったのではないでしょうか?確かに60年代のシンガポールではDECCAとLONDONが混在していてジャケットはシンガポール独自のDECCA、中のレコードはUSA盤LONDONの『BIG HITS』なんていう珍盤もあります。シンガポールでの純粋なプレスはシングル「Jumpin' Jack Flash」からですのでこれ以前のレコードは輸入していたと考えられます。香港という資料もありましたが香港では64年の「Not Fade Away」から独自にプレスしていて、レーベルもDECCAですのでこれは間違いだと思います。このUK輸出仕様はアメリカ国内ではなくおそらくシンガポール、またはマレーシア周辺の国々で発売されていたのかと思いますがご存知の方がいらっしゃいましたらご教授願います。